このような症状やお悩みありませんか?
- 眠れなかったり、目が覚めてしまう胸や背中の痛み
- 胸や首辺りが締め付けられる、または圧迫されるような痛み
- 息切れや呼吸困難を伴う痛み
- 食事で悪化する胸や背中の痛み
- 何日も続く胸や背中の痛み
上記の症状やお悩みをお持ちの方は要注意です。
胸・背中がそれぞれ痛む原因は、何かの疾患によるものかもしれません。
自分は大丈夫だと放置していると、疾患が重症化してしまうリスクも高まるため、早めに当院を受診しましょう。
痛みの原因となる疾患
胸部や背部に感じる痛みは、多様な要因によって引き起こされることがあります。この痛みは、筋肉や骨格の問題、または内臓の問題から生じることがあります。命に関わるような重大疾患である可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
胸の痛みの原因となる疾患
狭心症
狭心症とは、心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈が動脈硬化などにより細くなることで、心筋が一時的に血液不足(虚血)に陥る状態です。この虚血は一過性であり、心筋梗塞と異なり心筋の壊死を残しません。心臓は常に酸素豊富な血液を必要とし、冠動脈の狭窄や痙攣が発生すると、心筋への血流が減少し、胸痛などの症状が生じます。狭心症は発作の条件によって安定性狭心症、冠攣縮性狭心症、不安定狭心症の3タイプに分類され、緊急性は安定性よりも冠攣縮性、不安定性が高くなります。心臓への負担が増すと症状は繰り返されるため、適切な対応が必要です。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が動脈硬化により閉塞し、心筋が酸素不足に陥る病気です。この状態で心筋細胞は壊死を起こし、症状が進行すると突然死のリスクが高まります。動脈硬化により冠動脈の壁にコレステロールが沈着し、粥腫(じゅくしゅ)が形成されます。これが破裂し血栓が形成されると、血流が妨げられ心筋に酸素が届かなくなります。主な症状は強い胸痛で、圧迫感、灼熱感、冷や汗、吐き気、嘔吐などを伴います。痛みは20分から数時間続くことがあり、狭心症と異なり、ニトログリセリンなどの通常の治療が効かないこともあります。無痛性心筋梗塞の場合、心不全の症状が現れるまで発見が遅れることもあります。心筋梗塞は、日本人の死亡原因第二位にあげられ、迅速な治療が必要な重大な病気です。
気胸
気胸は、肺に穴があいて空気が漏れ出し、肺が縮む状態を指す疾患です。この状態は、パンクしたタイヤのように肺が膨らまなくなり、胸痛・咳・息切れなどの症状が生じます。穴があく原因の多くは、肺の表面に形成される肺嚢胞(ブラ)が破れるためで、その理由は現在でも完全には理解されていません。気胸は特に若くて背の高い痩せ型の男性に多く見られ、60歳を過ぎると肺気腫の増加に伴い発症率が上がります。漏れた空気が多いと肺を強く圧迫し、「緊張性気胸」と呼ばれるより深刻な状態になり、緊急対応が必要になります。胸腔内は通常陰圧に保たれていますが、気胸によって陰圧が保てなくなり、肺が虚脱状態になります。症状の出現は突然であり、動いている時だけでなく、静止していても発生することがあります。
背中の痛みの原因となる疾患
大動脈解離
大動脈解離とは、心臓から背中を通ってお腹にかけて走行する大動脈の内膜に亀裂が入り、中膜に血液が流入することで起こる病気です。大動脈の壁は内膜、中膜、外膜の3層構造になっており、通常は十分な強さと弾力を持っていますが、何らかの原因で内膜が破れ、中膜の中に血液が入り込むと解離が起こります。この状態は解離性大動脈瘤と呼ばれ、外膜だけになる部分が薄くなり破裂しやすくなるため、非常に危険です。急性大動脈解離は特に危険で、発症後48時間以内に50%、1週間以内に70%、2週間以内に80%の割合で死亡すると言われています。突然の激しい痛みを伴い、放置すると突然死のリスクが非常に高くなります。原因は不明ですが、動脈硬化や高血圧、マルファン症候群などの先天性疾患との関係が指摘されており、早期治療が重要です。
急性膵炎
急性膵炎は、膵臓の急性炎症で、重症になると命にも関わる病気です。主な原因はアルコールと胆石で、最も一般的な症状は上腹部痛で、背部まで痛みが広がることもあります。他に嘔吐、発熱などの症状があり、重症化すると意識障害やショック状態に陥ることもあります。急性膵炎は自己消化によって発症し、膵臓の浮腫、出血、壊死が生じ、膵組織から有害物質が血液中に流れ込み、多臓器不全を引き起こすことがあります。診断は血液データとCTにより行われ、治療には絶飲食による膵臓の安静、輸液投与、鎮痛剤の使用、蛋白分解酵素阻害薬の使用などが含まれます。重症膵炎では集中治療が必要で、臓器不全対策、感染予防、栄養管理が行われます。急性期が過ぎると膵仮性囊胞や膵臓周囲組織の壊死、感染が生じることがあり、仮性囊胞はドレナージ、壊死組織はネクロセクトミーが必要となることがあります。
膵臓癌
膵癌は予後の悪いがんで、その患者数は年々増加し続けています。日本膵臓学会の膵癌登録報告によれば、5年生存率は全症例で13.0%と予後は非常に厳しい疾患です。予後改善には、切除可能な状況での早期診断が必要です。腹痛や背部痛が続くときは検査を受けることをお勧めします。特に膵癌の家族歴がある、糖尿病、慢性膵炎、膵のう胞のある方は膵癌の危険性が高いため特に注意が必要です。
検査方法
診察では、痛みがいつ、どのような形で発生するかを詳しくお聞きします。その情報を基に、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の可能性が考えられる場合、胸のレントゲン検査と心電図検査を行います。気胸などの肺の病気や大動脈の病気、膵臓などのお腹の病気を疑うときは、エコー検査やCT検査などを通じて診断を行います。
CT検査
CT検査(Computed Tomography、コンピュータ断層撮影)は、X線を使用して人体内部の断面画像を生成する検査です。この検査は脳、大動脈、肺、肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、脾臓、リンパ節などの病変を非常に詳細に映し出す能力があるとされています。患者は検査台に寝た状態で円筒形の装置に入り、数分で全身のスキャンが完了します。CT検査は医療分野において診断の精度を大幅に高め、患者の病変を特定するのに極めて効果的な方法となっています。
まとめ
胸や背中の痛みがある方は、上記で述べたように、心臓、肺、大動脈などの胸の臓器だけでなく、膵臓などのお腹の臓器の検査が実施可能な医療施設を受診することが重要です。自己診断で「自分は大丈夫だ」と決めつけるのは非常に危険です。胸痛や背中の痛みは身体からの警告信号と捉えられ、それを無視しないことが病気の早期発見や治療へと繋がります。
少しでも症状がある方は早めの段階で、当院で検査を受けることを推奨致します。